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競合にマインドシェアを奪われているサイン:GA4とサーチコンソールで見抜く方法

競合にマインドシェアを奪われているサイン:GA4とサーチコンソールで見抜く方法

「リスティング広告のCPAは目標値内に収まっているのに、なぜか売上の伸びが鈍化している…」
「広告代理店からは『順調です』という報告を受けるが、現場では比較検討などで競合の勢いを強く感じる…」

 

マーケティング担当者としてこのような違和感を抱いているなら、それは数字に表れない「マインドシェア(顧客の心の中での自社ブランド占有率)」を競合他社に奪われ始めているサインかもしれません。

多くの広告代理店は、Google広告やMeta広告の媒体管理画面上の数値(CPC、CTR、CPAなど各広告係数)を最適化することには長けています。しかし、実はそれらの数値はあくまでも「広告というフィルターを通した結果」でしかありません。顧客が自社と競合他社を天秤にかけたとき、どちらを購入時選択肢の上位に思い浮かべ、どちらをより信頼しているかという「企業の持つ本質的な健全性」は、管理画面の外側に隠されています。

本記事では、Googleアナリティクス4(GA4)とGoogleサーチコンソールという2つの無料ツールを活用し、競合にマインドシェアを奪われている兆候を論理的に特定する方法を解説します。また、もし今代理店に広告運用を依頼しているのであれば、その代理店がこれから述べるような細かな変化に気づき、事業インパクトを考慮した最適な提案を行えているかを見極めるための視点を提供します。

今の広告運用に漠然とした不安を感じている方、より事業に対してインパクトのある代理店へのリプレイスを検討している方にとって、次のアクションを決めるための明確な指針となるはずです。

こんな人におすすめ

事業成長に重要な「マインドシェア」について、深く知りたい方

広告の獲得効率(CPA)は悪くないが、全体の成約数や売上が伸び悩んでいる方

競合他社の露出が増えていると感じ、顧客の中で自社の存在感が薄れている不安がある方

広告代理店から毎月「媒体の数値報告」しか受けておらず、事業視点での踏み込んだ提言が足りないと感じている方

この記事を読むと分かること

顧客の「マインドシェア」が低下した際にサーチコンソールに現れる具体的な予兆

GA4のユーザー行動データから、競合への流出や自社ブランドの熱量低下を読み解く分析手法

媒体数値に固執する代理店と、事業成長を支援するパートナーを見分けるポイント

マインドシェアを奪還するために必要な、広告戦略と分析体制の再構築ステップ

なぜ「マインドシェア」の低下を見逃すと致命的なのか?広告運用の限界と市場の現実

WEB広告の世界では、つい「獲得単価(CPA)」や「投資対効果(ROAS)」といった分かりやすい指標に目を奪われがちです。しかし、これらの指標が安定していても、実は水面下で事業成長の基礎となる「顧客との信頼感」が揺らぎ始めているケースは少なくありません。その根本原因が「マインドシェアの低下」です。

広告のCPAだけでは測れない「顧客の頭の中」のシェア

マインドシェアとは、特定のカテゴリーにおいて、顧客の心の中で自社ブランドが占める割合を指します。例えば、「スマートフォンといえば」という問いに対して、特に日本で聞いた場合多くの人が真っ先に「iPhone」を思い浮かべる状態は、アップル社が市場で圧倒的なマインドシェアを確保していると言えます。

アップル社の顧客は次の機種変更でも多くの場合、同じくiPhoneの最新版を選ぶでしょうし、またはAndroid端末を使っている知り合いが自分のスマホへの不満(充電容量が、アプリの使い勝手が、周辺機器が)を口にすれば「いい機会だし、あなたもiPhoneに変えちゃえば?」などと無意識のうちに、あたかもショップ店員のような口ぶりでおススメをするでしょう。もしくは中学生の子供が初めてのスマホを買うときも、店員から国産Android端末の驚異的なスペックを説明されたとて、「でも友達はみんなそうだから」と、比較検討の余地もなくさらっと好きなカラーのiPhoneを親御さんにねだるのではないでしょうか?

このように、ユーザーの心の中で「AといえばB」のブランド想起一位を取ることは事業成長にとって強烈な起爆剤となり、市場での確固たるポジションを築きます。

また副次的な効果として「ユーザー間のおススメで勝手に新たな顧客が増える」「ユーザー同士でブランドへのロイヤリティをお互いに高め合い、結果LTVが最大化する」等、マーケティング領域においても投資金額に対してのリターンに、数値以上の非常に優れたレバレッジ効果をもたらします。

では逆に、そんな非常に大きな効果をもたらすマインドシェアの獲得ですが、例えばWEBマーケティングにおいて、このシェアが逆に低下する(競合他社に取られる)と何が起きるでしょうか。
結論から言えば、上記に上げたメリットの逆どころか、恐ろしいことにそもそも「比較検討の土俵にすら上がれなくなる」のです。広告は検索された際やSNSを見ている際に出現しますが、顧客の頭の中にすでに強力な競合他社(AといえばB)が存在している以上、せっかくお金と手間をかけて出稿している自社の広告は、本来見込み顧客=獲得対象であるはずのユーザーにとっては「見るほどでもない単なるノイズ」として処理されてしまいます。

そんな状態でたとえ広告運用のテクニックでCPAを安く抑えられたとしても、それは「たまたま目の前にいた今すぐ客を、たまたまタイミングが合って安く拾えた」に過ぎず、中長期的な自社ブランドのファンや高LTVを見込めるリピーター層はすでに競合他社に流れている可能性があります。この致命的なズレに気付かず放置したままにしてしまうと、時間の経過とともに「広告の獲得効率は良いのに、獲得総数は減り続ける」という妙な数値として顕在化します。

競合他社が選ばれるプロセス:検索行動の変化

現代のユーザーの消費者行動の傾向として、何かサービスや商品を探して表示された広告をクリックする前(あるいはクリックした後)に、類似ブランドを提供している同業三~五社程度候補を絞り、最終的にそれぞれを徹底的に「比較検討」します。ここで重要なのは、ユーザーの検索行動が「カテゴリーワード(例:東京 中古車 買い取り)」から「比較ワード(例:A社 B社 どっちがおススメ)」へと移行するプロセスです。

競合にマインドシェアを奪われ始めると、ユーザーの検索行動には以下のような変化が現れます。

1.そもそも最終候補の選択肢に入らないため、自社ブランドKWでの検索が減る(指名検索の減少)

2.競合名+自社名といった比較のための複合KWでの検索が増える(競合への関心増加)

3.自社に関連する課題解決キーワードで、競合他社のブランド(サイトやサービス、ロゴ他)が先に想起される

これらの変化は、広告管理画面での最終数値に過ぎない「クリック数」や「コンバージョン数」だけを見ているだけでは気付けないため、ユーザーが自社ブランドを「第一想起(Top of Mind)」しなくなっているという大前提に気づかないまま現場から上がっている違和感(「競合の影がちらつく」)を無視し、媒体管理画面上の小さな補修(広告の入札調整やバナーの微修正など)だけして解決した気でいると、そのほころびは明確に事業全体の売上や新規顧客の数値に影響を及ぼす取り返しのつかないダメージに繋がることもあります。

代理店が「媒体数値」しか語らないことのリスク

多くの広告代理店は、それが断片情報とは気付かず(───もしくは気付きながらも)分かりやすい(=計測しやすい)GoogleやMetaの管理画面に表示される最終的な広告数値のみで自社の運用努力とその成果を証明しようとします。

「今月のCPAは先月より10%改善しました」

「クリック率が向上したので、質の高いユーザーを誘導できています」

これらは決して間違いではありませんが、広告主が本当に知りたいのは

「その結果、市場での自社の優位性はどの程度高まったのか?」

「投入した広告費はどのような形で事業成長に返ってくるのか?」

という「投資効果の可視化」ではないでしょうか。

マインドシェアの低下は、多くの場合、市場環境の変化や競合の強力な施策によって引き起こされます。管理画面の数値だけでクライアントの事業インパクトを見ている代理店は、この「外側の変化」に鈍感になってしまいます。

・競合がテレビCMを開始し、指名検索をごっそり奪っていった

・競合がSNSでバズを起こし、潜在層の認知を独占した

・競合のサービスアップデートにより、自社の差別化ポイントを無効化した

こうした事象に目を向けず、自社の管理媒体のみを見ながら「クリックは取れています。CPAは安定しています」というような報告しかできない代理店は、もはやパートナーではなく「作業の代行者」です。マインドシェアを奪われているサインやその予兆を広告以外のデータから読み解き、事業主と共に速やかに戦略を練り直す姿勢こそが、今の変化の激しい市場で求められています。

お気軽にご相談ください。

サーチコンソールで見抜く:指名検索の変化に隠された競合の影

競合にマインドシェアを奪われているサインが最も顕著に現れるのが、Googleサーチコンソール(Google Search Console=Google検索結果でのサイトの掲載順位や表示回数、検索クエリ、キーワードを分析できるGoogle提供の無料ツール)です。サーチコンソールは、広告をクリックした後の動きではなく、「ユーザーが何を求めてGoogleで検索したか」という、広告以前の生々しい意図を可視化します。

指名検索ボリュームの推移と市場認知の相関

まず確認すべきは、自社のブランド名や社名、サービス名での検索(指名検索)の推移です。
指名検索は顧客が自社を認知し、「他でもない、あなたのサービスを見たい」と意志を持って検索行動した結果です。

このボリュームが以前よりも減少している場合、どんなに広告で新規ユーザーを集めていてもそれは穴の開いた甕のように、ブランドの総貯金(資産)は今もどんどん目減りしていることを意味します。

【分析のチェックポイント】

・長期的なトレンド(前年同月比): 季節要因を除外した上で、指名検索のクエリ数が右肩下がりになっていないか。

 

・認知広告配信との連動性 : ディスプレイ広告や動画広告を認知最大化目標で配信強化しているにもかかわらず、指名検索が増えていない場合、その広告は「マインドシェア」の獲得に寄与していない可能性があります。

優秀なコンサルタントであれば、広告管理画面だけでなくサーチコンソールの指名検索数を確認し、「認知施策の効果が薄れているのではないか」あるいは「競合に想起を奪われているのではないか」という仮説を立てます。

「指名+単語」のクエリ変化から読み取る競合比較のフェーズ

単なるブランド名だけでなく、「自社名 + ◯◯」という掛け合わせクエリの変化に注目してください。
競合にマインドシェアを奪われ始めているサインは、以下のようなクエリに現れます。

1.「自社名 + 評判」「自社名 + デメリット」の急増 :

ユーザーが自社に対して疑念(もしくはリスク回避の為)を持ち、確認作業に入っています。この際、検索結果に競合他社が用意した導線である比較記事やアフィリエイトサイトが並んでいると、そこでマインドシェアを決定的に奪われるリスクがあります。

 

2.「自社名 + 競合名」の増加 :

これは、ユーザーの頭の中で自社と競合が「並列」に置かれている状態です。かつては自社の一強だった市場でこのクエリが増え始めたら、独占的なマインドシェアが崩壊し始めている証拠です。

 

3.「自社名(サービス) + ログイン」以外のクエリの減少 :

新規の検討層による意味のある指名検索が減り、既存ユーザーの利便性のためだけに事業成長の観点では無意味な検索行動がされている状態です。新規獲得のチャネルや、そのエンジンが止まりつつあることを示唆しています。

非指名キーワードにおける競合の台頭:掲載順位とCTRのギャップ

自社がかつて上位を独占していた「悩み解決キーワード(一般ワード)」において、表示回数は維持しているのにクリック数やクリック率(CTR)が低下しているケースも危険です。

これは、検索結果画面において、競合のタイトル文やブランド力のほうがユーザーにとって魅力的に映っている(=選ばれている)ことを意味します。
「検索結果の掲載順位は変わっていないのに、クリックが奪われている」
この現象が起きている場合、ユーザーのマインドはすでに競合へと傾いています。広告文の訴求内容が古くなっていないか、あるいは競合が提供している「新しい価値基準」に自社サービスが対応できていないかを見直し検討する必要があります。

GA4で見抜く:ユーザー行動から読み解く「ブランド離反」のサイン

サーチコンソールが「サイトに来る前」のサインだとすれば、GA4(=Google Analytics 4は、Webサイトとアプリの行動データを統合して分析できるGoogle提供の無料のアクセス解析ツール)は「サイトに来た後」のユーザーの行動や、ニーズのサインを教えてくれます。ユーザーが自社サイト内でどのような挙動を見せているかを分析することで、競合との比較において自社が「劣勢」に立たされている原因を突き止められます。

エンゲージメント率とセッション継続時間の急落が意味するもの

GA4における「エンゲージメント」は、ユーザーがサイトに対してどれだけ深い関心を持ったかを示す指標です。競合にマインドシェアを奪われている場合、サイトへの流入(セッション数)は維持できていても、内容を精査せずにすぐに離脱するユーザーが増える傾向にあります。

これは、「とりあえず自分の探している関連サービスのため広告をクリックしてみたが、他社の方が良さそうだったので一応確認だけして戻る」というユーザーの比較行動の表れです。

【注視すべき指標】

・セッションあたりの平均エンゲージメント時間 :

これが低下している場合、ユーザーにとって「わざわざ読む価値のある情報」がサイトに欠けている、あるいは競合サイトの方が価値提供できていたり、もしくは提示情報が整理されている可能性があります。

 

・キーイベント(コンバージョン)までの経路数 :

1ユーザーあたりのコンバージョンに至るまでのセッション数が増え、期間が長期化している場合、検討の難易度が上がっている(=決め手に欠けユーザーに対してのクロージングが弱い、競合との迷いが深まっている)ことを示します。

参照元/メディア分析:流入経路の変化から見る競合の広告戦略

GA4の「集計プロパティ」や「参照元/メディア」レポートを詳細に見ると、ユーザーがどのようなルートを辿って自社にたどり着いたかが分かります。

特に注目すべきは、「(direct)/(none)」や「google / organic」の数値の質の変化です。

もし、指名検索由来と思われるオーガニック流入のコンバージョン率が下がっているなら、それは「指名してまでわざわざ自社サイトに来た熱量の高いユーザー」すら、最終的に競合へ流れているという極めて深刻な事態です。

また、外部の比較サイトやレビューサイトからの流入(Referral)が急減している場合、そのプラットフォームにおいて競合が露出強化していたり、比較した際の優位性を以前よりも強め、結果自社の優先順位が媒体側から下げられている(もしくはシンプルに競合と比較して魅力がないので流入数で負けている)可能性があります。優秀な代理店なら、「広告運用の調整」に留まらず、こうした流入経路の微妙な異変から競合他社の動きを察知し、対策を提案します。

再訪率(リピート率)の低下は「比較検討」で負けている証拠

BtoB商材や高単価なBtoC商材において、ユーザーは一度の訪問で購入を決めることは稀です。複数回サイトを訪れ、他社と比較しながら決断を下します。

GA4の「保持(リテンション)」レポートを確認してください。

「新規ユーザー」が「リピートユーザー」に転換する割合が低下しているなら、初回の訪問でユーザーの心を掴めておらず、2回目以降の比較検討の選択肢から自社が脱落していることを意味します。

・「1回見れば十分(他の方が明らかに魅力的)」と思われている

・競合の追跡型広告(リマーケティング)が強力で、訪問済のユーザーを連れ戻されている

・自社のリマーケティング広告が、ユーザーに「もう一度見たい」と思わせる内容になっていない

これらの要因を放置したまま、例えば媒体のみに注目して新規流入(広告のフロント部分)のCPA抑制等の最適化を目指すのは、あたかもザルで水を汲むように無意味な広告費用の垂れ流しと同意となってしまいます。

【徹底比較】今の代理店は「事業成長のパートナー」か「単なる運用代行」か

自社のマインドシェアが競合に奪われているサインをデータで確認した際、最も重要になるのが「その事実を、今の広告代理店が把握し、示唆を出せているか」という点です。広告主の事業成長を本気で考えるパートナーと、単に設定を管理するだけの代行業者では、情報のインプットのチャネル数と、アウトプットの質やそのスピード感に決定的な差が生まれます。

優秀な代理店が提出するレポートと、不十分な代理店のレポートの違い

多くの代理店が提出する月次レポートには、表示回数、クリック数、CPC、CPAといった「媒体数値」が並びます。しかし、マインドシェアの変動を察知できる代理店は、その一歩先の数値をレポートに含めます。

一般的な代理店のレポート:

「今月はCPAが目標の3,000円を下回る2,800円で推移しました。来月も引き続きキーワードの入札調整を行い、効率化を図ります」

→ 視点が「媒体の中」だけで完結しており、市場における自社の立ち位置の変化に無頓着です。

 

優秀なパートナーのレポート:

「CPAは安定していますが、サーチコンソール上の指名検索数が前月比15%減少しています。一方で先月よりも『自社名 + 比較』のクエリが増加しており、競合B社が打ち出した新キャンペーンの影響でマインドシェアが流出している懸念があります。クリエイティブにB社との差別化要素の部分を強く訴求してキャッチを強めましょう」

※視点が「ユーザーの検討行動」に向いており、事業リスクに対する先回りの提案が出来ている。

マインドシェア低下を察知した際に代理店が取るべき3つのアクション

もしデータ上に競合へのシェア流出の兆候が見られた場合、プロフェッショナルな代理店は直ちに以下の3つのアクションを提案するはずです。

1.オークションインサイトの徹底分析

Google広告などの「オークションインサイト」を確認し、競合がどのキーワードで、どの程度の頻度で自社を上回る検索での上位露出をしているかを可視化します。

 

2.クリエイティブとランディングページ(LP)の訴求見直し

「今まで通りの強み」が競合の出現によって相対的に弱まっていないかを検証します。競合が「価格」で攻めているなら、自社は「品質」や「サポート」を強調するなど、ユーザーの比較行動を前提とした柔軟かつ最適な訴求軸の再設計を行います。

 

3.フルファネルでの施策見直し

リスティング広告の効率が落ちている原因が「認知不足(マインドシェア不足)」にあると判断すれば、あえて全体のCPAを一時的に度外視してでも、YouTube広告やSNS広告で認知を広げ(新たな漁場の開拓)、指名検索を呼び戻す施策を提案します。

リプレイスを検討すべき決定的な瞬間:ビジネスインパクトへの言及有無

代理店選定の決定打となるのは、手法の良し悪しや知識の有無のみではありません。「広告の成果が、クライアントの事業利益にどう貢献しているか(または損ねているか)」を自分事として語れるかどうかです。

「管理画面上の数字はいいので、事業が停滞してもそれは私たちの責任ではありません」というスタンスが見えた時、残念ながらそれはリプレイスを検討すべき瞬間です。マインドシェアの低下は、いずれ広告領域にも明確な悪影響を招きます。LTV(顧客生涯価値)の低下や解約率の上昇、さらには新規獲得コストの高騰を招くこの「ビジネス全体へのインパクト」を予測し、警鐘を鳴らしてくれない代理店と走り続けることは、事業にとって広告投資の効率低下と、広告主のビジネス全体に大きな機会損失を与える可能性もあります。

競合に奪われたシェアを取り戻すための5ステップ

さてデータから危機を察知し、マインドシェアの流出や損失による事業戦略を練り直す場合はどのようなシェア奪還作戦が有効でしょうか。マインドシェアを再構築するには、単なる「広告の微調整」ではない構造的なアプローチが必要です。

ステップ1:自社の強みの再定義(独自の価値提案)

競合にシェアを奪われる最大の理由は、顧客にとって「自社を選ぶ理由」が曖昧になったからです。市場環境が変われば、かつての強みは「当たり前の機能」に成り下がります。
現在の競合状況や自社の市場での立ち位置を分析/再定義し、「競合にはできないが、自社なら解決できる顧客の悩み」を改めて定義し直してください。これをWeb広告のメッセージの核(コアメッセージ)に据えます。

ステップ2:GA4・サチコを用いた定期的な「競合流出モニタリング」の仕組み化

今回の分析を単発で終わらせずに月次、可能であればよりショートな週次でモニタリングする体制を構築します。

・サーチコンソール:指名検索数と、比較キーワードの出現傾向を追う

・GA4:特定の参照元からのエンゲージメント率の変化を追う

これらをダッシュボード化し、異常値が出た際に即座に共有と改善案を打ち出すための作戦会議を広告主と運用側で開ける状態にします。

ステップ3:クリエイティブとLPOによる比較検討層の引き止め

ユーザーがサイトに来た際、「やっぱりここが一番だ」と確信させるためのコンテンツを強化します。具体的には、LP内に「選ばれる理由」や「他社との違い」を明記した比較表を設置したり、第三者の信頼を示す導入事例・口コミを最新化したりする施策が有効です。マインドシェアが低い状態のユーザーはまず「疑い」から入るため、その疑念を払拭する=信頼感の構築に寄与する効果的な情報の配置が不可欠です。

ステップ4:フルファネルでの広告戦略の再構築

獲得型のリスティング広告だけに頼るのをやめ、認知・興味関心層へのアプローチを再開します。マインドシェアは、検索される「前」に決まっています。動画広告やバナー広告を通じて、ユーザーが課題を感じた瞬間に選択肢に入る=「そういえばあの会社(サービス)があったな」と思い出してもらえる状態(純粋ブランド想起の獲得)を目指します。

ステップ5:共通言語で語れるパートナーへのリプレイス

自社の事業理解が深く、GA4やサーチコンソールのデータをビジネスの文脈で解釈できるパートナーを選び直します。
選定のポイントは、「手法」ではなくあくまでも「思考のプロセス」です。「競合が〇〇という施策を打ってきたら、自社はどう対抗すべきか?」という問いに対して、データに基づいた再現性の高い、効果的な施策を展開できる代理店こそが、奪われたシェアを取り戻す際には最高の相棒となります。

FAQ:競合分析と代理店リプレイスに関するよくある質問

Q. 競合の指名検索数を知る方法はありますか?

A. 自社のサーチコンソールで他社の数値は見られませんが、Googleキーワードプランナーや、Ahrefs・Semrushといった外部の競合分析ツールを使うことで、推計値を把握することが可能です。自社の指名検索数の推移と競合の推計推移を並べることで、市場シェアの奪い合いを可視化できます。

Q. 代理店をリプレイスすると、一時的に成果が落ちるのが不安です。

A. タグの貼り替えや学習データの蓄積により、短期的には数値が不安定になる可能性はあります。しかし、マインドシェアを奪われ続けている状態での「現状維持」は、競合他社から見れば停滞であり、すなわち緩やかな衰退を意味します。リプレイスの際は、現代理店からの引き継ぎを徹底し、並行期間を設けることで機会損失のリスクを最小限に抑えることが可能です。

Q. GA4のデータは代理店にどこまで共有すべきですか?

A. 原則として、閲覧権限はすべて共有することをおすすめします。代理店が「広告管理画面しか見ていない」のは、共有されていないことが原因である場合もあります。すべてのデータを開示した上で、それでもなお示唆のある提案が出てこない場合に、初めて「代理店の能力不足」を判断できます。

最新トレンド:2026年の広告運用に求められる「インサイト分析」の重要性

2026年現在、AIによる広告運用の自動化は極限まで進んでいます。入札調整やキーワードの選定といった「単純作業」の価値は相対的に低下し、人間にしかできない「インサイト(洞察)の発見」や「構造的思考」、結果から逆算して因子を見付ける「逆算思考」に価値がシフトしています。

現在のトレンドは、プライバシー保護規制(Cookie規制)の強化により、個々のユーザーIDを追跡するのではなく、今回紹介したような「検索意図の総和(サーチコンソール)」や「サイト内行動の文脈(GA4)」から、市場の空気感や顧客の心理変容を読み取ることです。

これからの時代、成長を続ける広告主とは「AIを使いこなす代理店」ではなく、「AIが導き出した数値の裏にある『顧客心理の変化』を読み解き、戦略を都度修正できる代理店」をパートナーに選んでいます。

まとめ:正しいデータ活用が、最強の事業戦略に繋がる

競合にマインドシェアを奪われているサインは、必ずGA4やサーチコンソールの数字に予兆とともに現れます。

・指名検索の減少や比較キーワードの増加

・サイト内エンゲージメントの低下

・リピート率の鈍化

これらの指標は、広告のCPAよりもはるかに残酷に、事業の未来を予言します。

もし、今の代理店がこれらの数字を指摘せず、表面的な報告に終始しているのなら、残念ながらそれは自社事業の「あと一歩」の成長を阻んでいる要因の一つかもしれません。

データはあくまでもデータでしかありません。そのデータをどう解釈し、それを元にどう動くのかは人間の力にかかっています。本記事で紹介した視点を持って改めて自社のデータを眺め、今のパートナーが真に事業成長を支える存在かどうかを問い直してみてください。

編集後記:マーケティングの本質は「顧客の心」の奪い合い

数値分析の手法を解説してきましたが、WEBマーケティングの本質は、画面の向こう側にいる顧客の「信頼」と「期待」を競合よりも多く集めることに他なりません。優れたパートナーは、吐き出された数字の羅列を、共通言語である「顧客の声」として翻訳してくれます。その翻訳が、自社のビジネスを次のステージへと導く羅針盤になるはずです。

もし、今の代理店に「GA4やサチコを使って、競合へのマインドシェア流出を可視化してほしい」とリクエストしてみてください。そこで明確な分析と改善プランが出てくるかどうか。それが、いざと言うときの行動を判断するための最も確実な試金石となります。

お気軽にご相談ください。

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